政府の経済財政諮問会議が5月7日開かれ、太田昭宏国土交通相は、老朽化している首都高速道路の改修に向け、首都高の上の空間を利用する権利「空中権」を民間に売却して資金調達する方針を明らかにしました。先進国で最悪水準の財政の健全化に向け、インフラ整備に民間資金を呼び込み公的負担を減らす狙いです。
安倍晋三首相も会議で民間資金を活用した社会資本整備(PFI)の推進に向け行動計画をまとめるよう指示しました。
首都高の全面改修には1兆円前後の資金が必要とされます。都心環状線の東京・銀座付近で半地下構造の約1キロの区間を対象に、空中権の売却を検討することになりました。この区間の上部に人工の地盤で蓋をして新たな土地を生み出し、道路上部の空間を利用できる空中権を同区間の周辺にビルを持つ事業者に売却することを検討します。
空中権を買うことで民間事業者は、敷地に対してどの程度の大きさの建物が建てられるかを示す「容積率」を増やすことができ、より大きなビルに建て替えることも可能になります。JR東京駅の復元工事でも、同様の手法が採用されました。
現在、道路の改修などは、国や自治体が費用の大部分を負担するケースがほとんどです。会議後の会見で甘利明経済再生担当相は、空中権の売却などで「(道路建設の)維持費を捻出していく」と述べて、積極的に民間資金をインフラ整備に活用する考えを示しました。
会議では、災害に強い国づくりを進める「国土強靱化」の具体策も検討されました。古屋圭司国土強靱化担当相は5月下旬に、当面の対応策をまとめる方針を示しました。